2024年3月20日

ファーストミニッツ改 ここまでの走行動画と送信機の問題

 ファーストミニッツの送受信機を生かしたまま変換マイコンでサーボ化するという技でステアリングの保持力がサーボの能力で決まるようになったのでだいぶコントローラブルになりました。

定番タイヤらしいフロントにローハイトスリック、リアにレーシングラジアル30(ホイールがナローなのではみ出し)を履かせて4畳半のたたみ部屋で走ってみたのが以下の動画です。
実はリアの巻き込みがひどくてあまりコントローラブルでは無いのですが、リポ3.7V化でだいぶ速くなってるので全開まで握るとオーバースピードで曲がれないところをどうにか走らせるのが楽しいです。

しかしながら、現状ではやっつけ改造のジョーゼンNSXにも操作フィーリングで負けている気がしています。↓比較用にジョーゼンNSX改の四畳半動画


たたみの継ぎ目で跳ねるところとか、車体の素性はサスありのファーストミニッツの方が確実に良いのですが、ファーストミニッツの操作フィーリングを損なっているいちばんの原因は送信機のしょぼさです。

まず操作ホイールの操作範囲が狭すぎる。±20度くらいしか動く範囲が無くて、全角でも45度くらい。普通のTXは±30度くらいはあるのでこの時点で微妙な操作が困難です。

さらにもっと大きい問題は、ファーストミニッツの送信機のデッドバンド設定です。これは車体側のやっつけプロポーショナル機構とも関係があります。普通のTXはサーボ角度のPPM信号を常に送るので、センター位置は送信機のホイールがバネで戻る位置というだけで信号上の特別な意味は無く、センターから少しでもホイールを動かせばその分だけ必ず信号が変化します。

対してファーストミニッツの操舵機構は車体側がバネでセンターに戻るのでニュートラル時には送信機からの信号無しである必要があり、送信機側にはトリムもありません。送信機の可変抵抗には個体差や経年変化があるので、それをどう吸収するかというとバインド直後のホイール位置を自動的にセンターと扱うように自動補正していて、さらにホイールが少し動いてもすぐには信号が出ないデッドバンドが設定されています。しかしこうやってセンターが少し変わったりするとどちらかにステアリング操作が偏って切れ角がいっぱいにならないといった問題が出るので、ホイール操作範囲の半分くらいのところで信号としては最大切れ角になるような設定になっており、ホイール操作量が小さいところも大きいところもデッドバンドがあります。さらにこれが右と左ではデッドバンドの具合も違います。検証のために2台買って確認しましたがどちらの送信機もほぼ同じでした。


注:測定したわけではなくふんいき図です

結局、ただでさえ20度くらいしかない操作範囲がデッドバンドのせいでさらに半分くらいの10度くらいになっているので、とても微妙な操作ができるはずがないです。そもそもメカニカルに微妙な操作ができなくて事実上ON/OFF操作になるためこれでも問題にならないのでしょう。ちゃんと信号が出始めてからMAXになるまでの比例区間はだいたいリニアな信号が送られているのに、範囲設定が雑すぎる。

それならば可変抵抗の値を送信機内のマイコンが読み取る部分にオペアンプでも挿入して、電圧を拡大とか縮小して少しでも改良できないかと思ったのですが、可変抵抗読み取り部分を調べていたら、なんと電圧としての読み取りはしていませんでした。
下の写真の黄色がオシロスコープで見た可変抵抗の読み取りピン電圧です。

3Vから0Vに向かって下側に三角形のトゲのようなものが出ていてこのトゲの幅がホイールやスロットルトリガーの操作で変化します。一本目のトゲ幅がスロットル、二本目がステアリング角度で変わります。

しばらく意味が分からなかったのですが、どうやらこれはアナログ入力ピンではなく、デジタル入力ピンのようです。そしてこのピンが可変抵抗2個につながっており、同時にキャパシタを経由してグランドにもつながっています。トゲが見えるところでは一瞬このピンをグランドに落としてキャパシタを放電させ、直後に入力モードに戻します。そしてどちらか一方の可変抵抗の反対側をデジタル出力で3Vにすることで、じわじわと可変抵抗を通じてキャパシタを充電します。1.5Vくらいでデジタル入力ピンがHだと認識したところで、そこまでの時間を計っておくことで可変抵抗を読み取っているようです。このやり方だとマイコンにADC機能は要りませんし、読み取る瞬間以外には可変抵抗に電流が流れないので消費電力も最小です。あたま良すぎる…
しかしこうなると、アナログ的に手を出すのは難しく、送信機をだますにはこの入力ピンに入る信号のL→Hの時間を何らかの方法で作り出す必要があります。結局ここもまた追加マイコンが必要か…