他社の資料でもこのグラフはよく示されており、下の例では最高出力のポイントが停止トルクの半分Ts/2とはっきり書かれています。
http://www.namiki.co.jp/product/dcmotor/motor_tech.html
これを踏まえて、まずある1つのモーターが与えられたとき、マイクロヘリのメインモーターへの要求
- ピッチポンプや横チクで負荷をかけたときになるべくローター回転数が落ちない=パワーがある
- その上で、なるべくモーターが熱くならず、長時間飛べる
をふまえてこのモーターをどう使えば良いか考えてみます。
まずパワーがあるとは、負荷をかけて回転が落ちそうになったとき、速やかに回転を戻すだけのパワーが発揮できるということです。性能曲線のパワーカーブで、ちょうど無負荷回転数の半分のところが最大パワーとわかっているので、この付近、できればちょうど半分より少し高い回転数のところでホバリングできるように、ギア比やローター回転数を選択すると良いと思われます。
ギア比で調整する場合はわかりやすいですが、ローター回転数をガバナーで設定するとこの特性グラフとはどういう関係になるのでしょうか
ガバナー動作させたとき、出力に余裕がある場合はPWM制御により電流が間欠的にしか供給されず、本来は回転数の増加と共に電流が逆起電力で下がっていくところを、回転数=逆起電力は一定にしつつPWMのデューティ比で実効電流を下げていった状態、と考えられます。
ガバナーありの状態で、パワーが出る領域をホバリング回転数の少し下に用意して待ち構えるパワー重視の使い方は、以下のような関係になりそうです。このくらいの使い方だと、ガバナー無しでもほとんど違いは無いでしょう。
ガバナーありの状態で、パワーが出る領域をホバリング回転数の少し下に用意して待ち構えるパワー重視の使い方は、以下のような関係になりそうです。このくらいの使い方だと、ガバナー無しでもほとんど違いは無いでしょう。
1Sモーターを無理やり2S駆動した時のように、パワーはあるけど全力で回すと回転数が高すぎるモーターを無理やりガバナーで低回転に落として使うと、特性グラフの以下のような位置で使っていることになり、ホバリング時はいざ知らず負荷がかかったときですらモーターの実力(最大パワー)が使える場面がありません。しかも電流は常に高めゾーンを使っているので発熱しまくりです。
上はガバナーありの場合でしたが、単にKvが高すぎるだけで最大トルクTsが不足しているモーターや、分不相応にピニオンを上げて無理やり高回転を狙った場合、ホバリング状態でも(モーターにとっては)Tsに近い高負荷がかかり、ガバナーがあろうがなかろうが残念な使い方になります
上の議論には効率の話が出てきませんでしたが、最大効率ポイントは一般には(冒頭にリンクした並木精密さんの例のように)Ts/2よりも低トルク側にあるので、最初の例のように回転落ち時のパワーを確保するように7割程度の回転数を狙っていれば効率もまあまあの結果が得られそうです。
極端に考えると、電気抵抗やメカ抵抗などの各種ロスI0が非常に小さいモーターでは、効率曲線はN*T/Tすなわち元のNに比例しますので、ほぼグラフ左端で効率MAXが得られます。左端付近ということは電流もほとんどゼロに近いので消費電力もさぞ少ないでしょう。
が、当然ながらグラフ左端というのはパワーカーブが0に近いところなので、ここでホバれるということはモーターの最大出力にものすごーーーく余裕がある巨大なモーターでないとそんな箇所で飛ばすことはできません。
しかも、残念なことにモーターを大型にするとメカ抵抗や各種ロスはどうしても増え、そもそもヘリの重量が増えて負荷がかかり効率が下がってしまうので、効率Maxは単純に何かを突き詰めていけば狙えると言うものではありません。
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