2014年5月29日

ピルエット補正とはなんなのか(2)

前回の「そもそもピルエット補正とはなんなのか」で、コメント欄でnobさんとクマー隊長に非常に多くの意見をいただきました。


特に問題になったのは、私が前回の記事で
「ピルエット補正とは、ジャイロの補正が一瞬遅れて機体に反映される遅れ時間の間に機体が回転している位相ずれを考慮し補正することである」
と書き、ほんの一瞬の間の微小な補正であると書いたのに対し、nobさんは3軸ジャイロメーカーの説明とご自身の観察結果から、
「オプチマイゼーションをオンにして地上でスワッシュを傾けて機体を手で回転させると機体の回転にかかわらずスワッシュの傾きが一定方向になるように動きます。」
と表現されています。これは一瞬の補正ではなくゆっくり操作してもはっきり見える効果なので、別物ではないか?というものです。


何度も食い下がっては説明し直してもらうことを繰り返し、これは私がIゲインの考慮を忘れていためではないかとわかってきました。




直前のPID説明記事に倣って、今回はヘリを上から見た図で考えます。
右ピルエットをしながら、何らかの要因でヘリがぐらっと左に傾いた場合を考えます。


このように、ピルエットしながらぐらぐら傾いた機体を制御するには、毎フレームごとにP補正項の値と、I補正の元になる積算エラーの値を三角関数で前フレームと(地面に対して)同じ方向に維持するようにする。これがピルエット補正ではないかと思います。


これを、机に機体を置いて実行すると、「Iゲインの効果によりスワッシュが傾いたところでスティックを離し、機体を手で持ってヨー回転させてやるとスワッシュが正しい元の向き(上の図で言えば画面右方向)を向き続けるようになる」 という現象が見られるはずです。

ヘリのPID補正の算出

ちょっと寄り道して、3軸ジャイロのPID補正によってヘリが何を何に近づけるように制御されているかを再確認しておきます。


まずユーザーの指示があったとき。

上の図のように、スティック指示は仮想的な目標値を動かすだけで、その後機体がどんな動きをして目標値に向けて動き出すかはジャイロに任されています。


まず、P補正項は「ジャイロ制御1ループあたりのエラー量」すなわち、3軸ジャイロの角速度読み値そのものが補正としてすぐ使われるので、非常にレスポンスが速いです。

また、I補正の元になる積算エラーは上の絵だとエラーを積み上げた巨大な量として書かれていますが、実際には機体が常にP補正やI補正で指令値をおっかけていますので、通常は積算エラーもほとんど0付近をふらふらしていて、P補正項とエラーの量は大差ありません。



ただ、機体を机に置いてモーターコネクタを外してスティック操作をする、といった操作をするとちょっと話は別です。

P補正項はスティックを倒している間だけ生まれて、スティックを戻すと即座に消滅します。
しかしI補正項の元になる積算エラーは、機体が操作に全く反応しないので、スティックを倒していた時間の分だけ積算されて、その後スティックを戻しても積算された角度(上の絵でいうと灰色の機体の向きですね)のまま積算エラーの値はずーっと変化しません。


この時スワッシュがどう動くか考えてみると
  1. 最初はスワッシュが水平な状態で
  2. エレベータダウンを少し入れる
  3. Pゲインが即座に生まれ、そのぶんだけスワッシュが瞬時に前に傾く
  4. Iゲインが積算されはじめ、スワッシュの傾きがじわじわ増加する
  5. (サーボのトラベルにも上限があるのであまり長い時間スティックを倒し続けるとサーボが振り切って傾きMAXで止まりますが)
  6. スティックを戻す
  7. Pゲインが消滅するのでそれに応じた分だけスワッシュが瞬時にぴくっと戻る
  8. でも積算エラーは(増え止まっただけで減らないので)大きな値のまま存在し、スワッシュは前に傾きっぱなしで停止する
という動きをします。(ジャイロの個性によっては上記のように素直じゃないものもあります)


ここでおもしろいのは、PゲインとIゲインの大小によってこの動きは全く異なって見えるという点です
  • Iゲインが0だと、4のじわじわ動く部分はありません。また8の現象も起こらず、7でスワッシュが瞬時に水平に戻ります
  • Pゲインが0だと、3と7のピクッと反応する部分は無く、じわじわ傾いて、傾きっぱなしになります。
これほど反応が違うにもかかわらず、どちらの極端なセッティングでもヘリはそれなりにローター面を維持して飛んでくれます。ただ汎用性を考えると両方をある程度入れておくのがベストなようです。






机の上に機体を置くと上記のように見えますが、同じ機能をフライト中の機体安定という面で観察すると
このように機体の向きが灰色の指令値を維持するように涙ぐましく制御します。

もちろんホバリング中でなくても、機体を前に傾けた状態でスティックを離せばその傾き維持しようと必死で頑張ります。

(nobさんにコメント欄でいろいろ教わりましたが)機体を前に傾けた状態=前に加速していって高速前進フライトになる姿勢なので、風の影響で頭上げをはじめとするいろんな力が機体に働き、スティック入力がないにもかかわらずかなりエラーが大きい状態=スワッシュが傾いて仕事をする状態でヘリは飛び続けます。


あ、どちらの説明にもDゲインの説明が抜けていますが、D補正は上記の2つと違って単体では機体を目標値に近づける効果がありません。(振動を抑制するので、補正強度を高めるためにPゲイン係数を大きく取っても振動が酷くならない、という目的で使います)
そもそもPID補正でD項は0にしておいて使わない、というケースも多数あるため、フィードバック制御の理解にとってはあまり重要ではありません。

2014年5月26日

そもそもピルエット補正とはなんなのか

最近、T-REX150、V977のようにマイクロヘリでもピルエット補正が話題になることが増えてきました。これをmultiWiiに実装してやりたいと思っているのですが、まずピルエット補正とは何なのか理解しなければいけません。

ピルエット補正については実際のところ何をしているのかちゃんとした説明がめったにありませんが、とにかく効果としてはピルエットしてもそのままのローター傾きを維持してピルエットする。というものだと思われます。



まず大事なのは、ピルエット補正とはあくまで傾きの維持であり、必ずしも定点ピルエットを意味しません。

たとえば右に90度だけピルエットする場合を考えると、シングルローターヘリ(時計回りローターの場合)は常に右に傾いてホバっていますから、傾きを維持してピルエットできたとすると、当然ながら機体は前に傾いており左右方向は水平になります。
その結果ヘリはローター傾きのために前に、テールローター反作用のために左に動きますので左前にすっ飛んでいきます。(なので、スローピルエットさせるときは人間が右後ろにサイクリックを引きながらピルエットさせていますよね)

これは(少なくとも3D向けのアクロコントローラでは)特に補正すべきものではなく、むしろ確実にこうなるようにローター面の傾きを維持してピルエットするのがピルエット補正です。



そもそもローター傾きの維持は3軸ジャイロの基本機能なのに、何故それ以上に補正が必要かというと、フィードバックの遅れ時間があるためです。

CPUの処理性能+メカ遅れで、機体の傾きからメインローター揚力への反映まで数msから100msくらいの遅れ時間がありますが、この間にピルエットにより機体の向きが大きく変わってしまうと、
  1. 高速右ピルエット中に
  2. 機体が(例えばテールローターの)外乱により左に傾きつつある
  3. ジャイロが右に傾けて戻そうとし、スワッシュサーボに右指令を出す
  4. サーボの動きがローターに伝わるより前に、機体がピルエットしてどんどん右を向く
  5. もはや機体は左だけでなく後ろにも傾きつつあることになる
  6. ようやくスワッシュが動きローターに伝わって右に機体を傾けようとする
  7. 結果として、機体は左右方向には補正されるが後ろには補正の悪影響で傾く
みたいなことが起こります。このように補正の悪影響で機体が傾いてしまうと、同じ条件で動かし続ける限りどんどんずれが累積されるので無視できないのと、傾かないようにいくらスワッシュ方向のPゲインを上げても症状が悪化するだけで改善しません。



この対策として、スワッシュ方向のPID補正結果をサーボに伝える前に、ヨー方向ジャイロの現在値を見て機体の回転速度を出し、伝達遅れ時間の間に変化した角度の分だけ前後と左右方向の指令をミキシングして位相ずれを補正してやるのが、ピルエット補正の基本と思われます。

といっても、伝達遅れ時間の部分は機体やサーボによって違うので、結局この1パラメータだけは調整可能にして「ピルエット補正係数」みたいな実装になると思います。

2014年5月20日

MultiWiiでヘリコプター(6)  無事にフリップ試験通過

HobbyKingで長らくBackOrderになり、絶対にディスコンだと思われていたMiniMWCボードwith DSM2が、なんと在庫復活しています!

お値段も$26のままで、6軸、バロメータ、地磁気、DSM2受信機(単体バインドボタンあり)と本当に全部入りで、この手の用途ですからOLEDとGPSのコネクタも当然あります。


APM系の同じクラスのボードHK Pilot Mega Miniは、CPUと記憶容量が違うとは言え$78で受信機無しですから如何にこのボードが価格破壊かお分かりいただけると思います。

オートパイロットせずに単に3軸で飛ばすだけでもこのMiniMWCが最安かつ最軽量なので、ディスコンでないなら次の機体(純正脳がしょぼいV922あたりを想定)にはこっちを選ばない理由はありません。



さてそんなMultiWiiヘリ計画ですが、メインモーターをハイパワーなHK14000kVに積み替えたところでテールワグとのつらい戦いが始まりました。これは元々V922でも辿った道のりです。

HK14000kVを半分以上のパワーで回すと、7mmモーターではハイピッチについてこれなくなり、8000kVクラスのブラシレステールでさえも(1Sではメインに電流を取られることもあって)テールを押さえ切れません。
事実上HK12000kVテールモーターが必須に近いのですが、これがまたワグるワグる。

しかしテール負けするくらいならワグを我慢して飛ばした方がマシなので、とりあえずお外で飛んでみました。
まあ、純正のV922くらいには飛べている気がします。2D安定度はかなりのものですし、激しいテールワグを別にすればFFF時の挙動もそれなりに安定していて、ちゃんとエルロンで傾けてエレべたを引いてぎゅーんとターンできます。正直この点では現状のV120D02Kより良いです。


このムービーの後、テールブームを20mmほど延長して少しモーターの回転域を低回転側に振ってみたところ、ホバ時にはだいぶテールが安定するようになりました。HK12000kVの絶妙に苦手とする回転域、というものがありそうです。
かなり長めのテールです。
今思えばV922もこのくらいの長さが安定していました。
また、1SバッテリーでHK14000を回してしまうと電圧ドロップでnanoWiiが即死しちゃうので、スキッドの左側に150mAhの受信機専用電池を積んでいます。まあ煮詰まっていけばいずれ2S化するでしょうからそれまでの辛抱です。

2014年5月18日

V120D02K とりあえず飛びました

脳みそをKbarに交換したV120D02ですが、屋外でそれなりには飛びました。

それなりに、と言うのは、表現が難しいのですが、130Xレベルに気持ちよくは飛べていないということです。あとそもそもテールのジャイロ設定が決まってなくて猛烈にワグってます。

ピルエット補正は効いてるのかどうかよくわかりません。右回転なら130Xみたいな素性の良いマイクロヘリは元々けっこう安定してますし、苦手な左回転ではこいつも少し傾きます。ただこの機体に関しては、元のRX2610のジャイロ補正が弱すぎたので保持力が上がったという点だけでもピルエットは良くなっています。


なによりロールレートがまだ低すぎるのですが、これ以上サーボトラベルを上げると誤作動したりロッドがもげたりするので、サーボホーン的に外側の穴を使うようにする必要があるかも。でもジャイロがロールレートを規制してる可能性もあるので設定の勉強をしてからですね。

こうなると、現場で設定変更したいですが、nobさんみたいな設定ボックスを持っていないのでBluetoothモジュールとandroidアプリ(450円)を使うしか無さそうです。今度やってみます。


手抜きで変換コネクタ接続のままにしてる点は、重量の面ではたいして問題じゃありませんが・・・
頭でっかちすぎて、キャノピーが着かないという問題がありました。。
これも次回までに直しておかないと。

2014年5月15日

V120D02K 部屋ホバまで

V120D02の純正RX2610が非常にダメダメなので、予定通りK-bar(なんと今や$26で売られています)化することにしました。

ej189さんの紹介しているK-barを脱がして軽量化する方法をそのまま踏襲する予定ですが、実は3in1以外のジャイロを使ったことは一度もありません。

あれこれ工作するより前にセッティングや3軸ジャイロの基本を学んでからにしようと思い、軽量化は後回しにしてとりあえず装着しました。



テスト接続にはヘリモンで買った3ピン-walkera変換コネクタを5本使います。以前3本セットで安く売られてた時にまとめ買いしてました。ていうか今も安いですね。受信機はもちろんorangeのサテライトRX。hobbykingで$7です。

うちのV120D02Sは最初からXP12AのBEC経由の電源供給だったんで、まるっきり加工なしでコネクタ繋ぎ換えのみで載せ代え完了しました。

軽量化は後回しでいいやと思ったんですが、テープ固定のバランスと配線取り回しを考えて、箱だけは脱がして基板を両面テープ貼り付けしました。現状で最終形態より5~10gくらい重いと思います。

とりあえずUSBでVstabi接続し、スワッシュのタイプ等を設定して、ローターゲインは最低の40、テールはmicroheliモードというボタンがあったのでこれを押したら中くらいのゲインに設定されました。
これで少し浮かしたら、テールもサイクリックもワグワグと狂ったように暴れまくりです!

騙された!と思ってテールローターのゲインを最低の40に下げて再挑戦しましたが、まだサイクリック方向がぐらぐらとオーバーゲインです。


しかしスライダーでは40以下は選べませんが、数値が直接入力可能になっているのを見て、もしやと思ってローターのゲインを最低以下の17とタイプしenterキーで確定させました。USBを抜き差ししてもちゃんと17のまま残っているので問題なく入力できるようです。
これでやっと、安心して部屋ホバできるようになりました。外フライトできないのでなんとも言えませんが。

現時点でも純正ジャイロとの違いは感じられて、まずStyleを90とかなり上げてみたら、ロボちっくにカクカクした姿勢変化をしてかっちり保持するようになりました。おもしろいです。

テールのピルエット補正はさすがに部屋内ではなんとも言えません。元のRX2610はかなりいまいちでしたからそれよりは良いと思います。いずれにせよ現状ピルフリは全くできないので活用する場面は無いでしょう。

博士モードの数値は以下のとおりです。こちらはまだ何も手では変更していません。

2014年5月14日

MultiWiiでヘリコプター(5)  予測補正でテールホールドばっちり!

PIDをつきつめる前に、予測補正(predictive compensation)に手を出してしまいました。

PIDはどんなに頑張ってもしょせんフィードバックです。BLHeliのマニュアルにも書いてありますが、テールが動いてしまってからそれを感知して元に戻そうとするより、動く前に何が起こるか知っていてテールが動きにくいようにテールローターを制御する方が良いに決まっています。


もちろん量的に完璧な予測をできるわけはありませんが、予測補正の良いところは、フィードバック補正と組み合わせて使ってもまったくお互いに悪影響を及ぼさず、純粋にお互いの苦手分野をカバーできるところです。


ごたくを並べましたが、たいしたことではありません。コレクティブピッチを入れたらその量に応じてテールローターの出力をアップする、というだけです。

式で書くと、multiWiiのoutput.c内にあるYAWサーボの値を決めてる箇所で
servo[5] = (axisPID[YAW] * SERVODIR(5,1)) + conf.servoConf[5].middle + abs(collective)/2;
と、コレクティブの絶対値に適当な係数(うちの場合は0.5にしました)をかけて足します。
absで絶対値を取りましたがまだ背面してないのでマイナスピッチ時は未検証です。

テールローター出力とサーボの関係は機体によっていろいろなので、今回入れた係数0.5の部分は本当はあとから微調整できるようになっているべきです。しかし予測補正は正確な補正量じゃなくても予測無しよりたいていマシなので、ソースコード内にdefineで係数を定義する程度でも大丈夫かもしれません。


たったこれだけで、大幅にテールの挙動が改善されました。昨日のムービーとピッチポンプの様子を比較すると良く分かります。

昔からある技として、プロポ側でピッチを入れたらミキシングで右ラダーを少し打つようにする、というのがありますが、3軸ジャイロから見るとかなり違いがあります。

プロポミキシングの場合、3軸ジャイロさんには右に少しノーズを向けろ、という指令が伝わり、彼はテール推力を少しアップさせますが、ピッチを同時にいれられちゃったせいで不幸にもその命令は十分に実行できず、彼はかろうじて左を向かずには済んだ、と思っています。しつこいヘッドロック機能をもったジャイロなら、その後負担が軽くなったところでぐいっと本来向きたかった右を向くかもしれません。

対して予測補正の場合は、3軸ジャイロには回頭指令は全くはいらず、彼テールに対して特に何もしません。ただ彼の部下のサーボさんが、勝手に上司の指示を無視してテール出力を増量しているのが目に入るだけです。
彼は「あーあ、知らないよ」と内心思いますが、責任感がある性格なので、部下の不始末が原因であっても機首がおかしな方向を向いたらちゃんと修正してやろうと思ってます。結果的にテール出力の増量は同時に起こったピッチ負荷と相殺してテールはあまりぶれず。それでも少しピッチ負荷が勝ってゆらゆらと左を向きそうになったりしたら、3軸ジャイロさんは本来の仕事をして、ホバリング時と同じようにそれを淡々と修正します。

つまりレートジャイロ(Iゲインが0)の場合を除いて、プロポミキシングの補正と機体側での予測補正は違いがあり、機体側での補正の方がずっと有利です。




ついでにnobさんから指摘のあったD補正もいろいろ変えてみました。しかしD補正は機体の「回転速度が急激に変化した時」しか効かないので、これ単体でテール負けを防ぐ効果はほとんどありませんでした。ピッチポンプでのテール負けはmultiWiiの世界ではそう速い変化ではない、ということだと思います。

D補正が効くのは本当に速度が急激に変化し続ける場合で、つまり手でピルエット入れたり機体を傾けたりした後に、操作を止めたところでおつりが出てぶるぶるっと振動するところをダンピングさせる効果があります。
そもそも振動が出なきゃ出番が無いわけですから、かなり強めのPゲインがかかっていることがDゲイン活躍の前提ということになります。


また、Iゲインは少なくともmultiWiiの世界ではテールや機体の傾きを保持する効果はほとんど発揮できませんでした。Iゲインが働く時間周期が0.5sec程度なので、こんな周期でテールがゆらゆら大きくワグられてもうざいだけです。
なので、Iゲインはゆらゆらワグが無くなるところまで減らして、「無くてもいいけどあれば機体の向きがゆーっくりドリフトして動くのを少し軽減できるかな?」程度のものだと思っておく方が良いです。


ただこれは機体の大きさや、ジャイロセンサのローパスフィルタ周波数等によっても変わるかもしれないので、あくまで今回のマイクロヘリの場合、という結果です。

今日の時点で最も良い感触だったパラメータを載せておきます。上のムービーの時よりDゲインを増やしておつり振動がなくなったので、ムービーよりも気持ちよくすぱっすぱっと傾けられます。


2014年5月13日

MultiWiiでヘリコプター(4) テールホールド少し改善

昨日、テールモーターの出力センターが調整できないと書きましたがただの勉強不足でした。ちゃんとMultiWiiConfのsettingsタブで、センターと両端の出力値を明示的に調整可能です。


なので、ヘリ部長に習ったとおり

  1. まずYAWのゲインを全て0にする
  2. テールサーボのセンターをいろいろ調整して、ラダー操作が左右に偏らずにホバれる位置を探す
  3. 今度はテールワグが出る寸前までどんどんYAWのPゲインを上げていく
  4. 最後に長周期ワグが出ない範囲でYAWのIゲインも上げる

という調整手順で設定をやり直すと、テールホールドがだいぶ改善されました。


軽いピッチポンプを入れてもテールが90度ぐるっと取られることはなくなりました。まだテールがぐらぐら不安定な感じはしますが、無風の屋外ならフリップもできるかもしれません。


この結果でわかったことは、基本的に急激なピッチ操作時のテールホールドはPゲインが担っているようだ、ということです。

2014年5月11日

MultiWiiでヘリコプター(3) とりあえず浮いてます。テールモーター制御が課題

HobbykingのnanoWiiコントローラでマイクロヘリを飛ばそう計画。

PWM出力をBLHeliに合わせるのはまだできておらず、現状サーボ信号相当の1000us~2000usPWMとしてESCに認識された状態でPID係数の効果と現状の課題洗い出しをしています。

ハードウェア加工はごく少量で、まずnanoWiiにwalkeraサーボ用のmolex 1.25mmコネクタ3つを直付け。信号線ピンを折り曲げて基板に直接ハンダ付けできる位置にコネクタを接着してから作業しました。GNDとVCCのピンは横に橋渡ししてハンダ付けします。


メインモーターとテールサーボの信号は基板裏側に信号線をハンダ付けして取り出しています。
メインモーターは490HzのPWMで50%~95%くらいが出てくるんですが、それってつまりサーボPWMだと思って解釈すると0~100%の信号に見えるようにうまく選ばれています。これによってブラシモーター等のデューティ比PWM信号としてもそれなりに動くし、サーボ信号を要求するESCに食べさせてもちゃんと機能するようになっているわけです。


次に、miniCPフレームを使うことにして、なんとかコントローラを水平マウントできるようにプラ板を切ってステーを作ります。

Geniusフレームやsolomaxxフレームの方が無理なくマウントできそうですけど、まあ手持ちの中古パーツを活用する方向で。。

サーボはwalkera純正でかまわないんですが、手元にHK5320サーボがいっぱい余ってるのでこれを使いました。機能の記事でV120のテールに使ったHK5330とは別物です。このサーボは激安だしminiCPに少しかさ上げすれば簡単に装着できるんですが、回転方向が逆なので流用するには(逆転させるには内部の配線を4箇所もハンダ付けする必要があって)面倒だし、パワーもwalkeraサーボに劣るのでこんな時しか使い道がありません。

multiWiiはもちろん汎用のコントローラなので、サーボ方向の逆転設定がありますから回転方向に関しては何の問題もありません。あ、例によって信号線とGNDがwalkeraと逆なのでコネクタのオレンジと茶色は入れ替え必要ですよ。


テール指令がサーボ信号で出てくるので、いちどブラシレスESCを通す必要があることもあり、たいしたパワーも出さないのにダブルブラシレスになりました。メインモーターはパワー不足で最近余っていたHP03Sです。ESCは高価なOrigin10Aを2つ、基板ステーの下側に貼り付けてあります。1Sと2S両対応ってところがテスト機に向いてるんですよね。


とりあえず現状でのフライト映像


サイクリック方向はP=1.5~2、I=0.030~0.050あたりでまあまあの感触を得ています。最低限のホバ安定度は出ていますし、機体を傾けるとその状態を維持したまま横に走ります。

が、動画の後半でもわかりますが、ピッチポンプした時にテールがぎゅんぎゅん負けて使い物になりません。

これはyaw方向のゲインがP=2.0と非常に小さい値になっているせいです。これを5とか6まで上げるとテールを保持するようにはなるのですが、今度はワグワグ左右に尻尾を振って見苦しいことこの上ありません。



このサイクリックとヨーの違いは、補正無しのセンター位置でヘリが準安定になっているかどうかに起因していると思われます。

テールサーボ機の場合だと、テールの調整はまずジャイロの補正が無い状態(サーボがセンター位置で)だいたいホバれるようにメカニカル調整して、そこからPIゲインを入れていくようにするようです。

しかしテールモーター機だと、メカニカルに調整しやすい箇所が無いので(テールモーター選択、ブーム長やローター種別で不連続には変更できますが)ホバるためにはどうしてもジャイロが一定の補正を安定して出し続けるようなPIパラメータにせざるを得ません。

この制限があると、Iゲインが使い物にならず、どうしても弱めのPゲインのみでテールを保持するような設定になってしまうのですが、それだと今度はピッチポンプのような急制動に弱いという問題が出ます。

何か別のパラメータでテール出力のセンターを設定できるようにする必要があります。
また、そうやって求めたテール出力のセンターは、メインモーターの回転速度に応じて変化するので、センター出力の設定自体をメインモーターやピッチによって変化させるというフィードフォワード(予測)補正も必要になるでしょう。

かなり安物の3in1コントローラでも、最低限そのような処理を行っているものと思います。まだまだこれからです。



そういえば、受信機としてOrangeサテライトRXを電池ケースの下に貼り付けているんですが、LEDがいい感じにオレンジ点滅してとても実機ぽくてかっこいいです(笑)

V120D02S テールサーボ交換

V120D02Sのテールサーボが
常時ぶるるるるっと振動するようになってたので交換しました。


純正品でもそんなに高くはないんですが、$3のわりにえらく高性能な HK5330デジタルサーボ をいくつか持ってるので試してみることにしました。今バックオーダーになってますが昔からの定番商品なので時々復活すると思います。


サーボが軽くなるのはいいんですが小さすぎるので、固定のためにまずサーボにプラ板を貼り付けます。

次に機体側のサーボホルダを左右反対側に付け直します。これはサーボの回転方向がwalkeraと逆なためです。

あと、サーボの3ピンコネクタもwalkeraとは信号線のオレンジとGNDの茶色が逆です。尖ったピンセットかなにかで端子をひっこぬいてオレンジがwalkeraの白、茶色がwalkeraの黒のピン位置になるように入れ替えてください。

後はネジ止めして完了♪

試しに飛ばしてみましたが、テールホールドはばっちりで性能に問題は無さそうです。
まあ、テール周りはたとえ純正サーボでも調整要素が山ほどあるので、サーボの種類なんてパワーとスピードが足りてればなんでもいい気がします。


これでうまくいったので、130Xのテールサーボが掃除してもぶるぶる治らなくなってきたらあっちもHK5330化してみようと思います。



あと、新車買いました。ケイヨーD2で9800円
折りたたむ必要性は無いんですが、純正に部材が少ないので軽くてらくちんです。

2014年5月6日

V120D02S 2S化フライト

連休はけっこう外出続きで、唯一今日がヘリを飛ばせる日です。


主目的はV120D02Sの初フライトです。
(元はSが付いてないV120D02なんですが、面倒なのでD02Sと呼ぶことにします)


仮組みのまま軽く外で浮かしてみたら、すぐにテールのCギアが吹き飛んでお殿様墜落しました。
しかしそれ以前にテールが非常にふらふらしていたので、きっちり組みなおして、モーターもちゃんと2S用のものに交換します。

まず、機体といっしょに提供されたSpin8000kVを装着。これは130Xだとサーボと干渉して危険なのでここにしか使い道がありません。
1Sのwalkeraバッテリー端子、もういらないよね…
隠れてますがBLHeliプログラマ端子も付けてガバナー入れました
そして細かいところをチェックしながらテールをV120D02Sの新品パーツで組みなおし。サーボホーンは変えてないのでコントロールロッドのボールリンクだけ小さい旧型タイプにしてます。


nobさんも言ってましたが、V120D02Sはテールの押さえがあまり良くないようなので、ちゃんとセンターを少し右スラスト方向にずらしてサーボを固定しました。
130Xだと完全にセンターでテールブレードが0ピッチになるような固定でもちゃんと飛ぶんですけどねぇ。まあジャイロに無駄な負荷はかけないほうが良いでしょう。

皆さん四苦八苦しているメインギアの固定ピンですが、ダイソーでφ0.9mmの銅線を買ってきて

こんな風にテキトーに固定しました。
1.0mmの線材では押し込むのに苦労するし、0.5mmでは細すぎてガタが出ます。0.8~0.9mmくらいの軟金属が良いと思います。強度も十分ありますよ。


さて、かなり強風下でのメイデンフライト。

ヘリ部長の言っていた高速フライト時の頭上げ現象を確認するために、とりあえず高速で8の字をしよう…と思ったんですが、風が強くて上下にぐらぐら飛ばされるので怖くて横ドリサークルしかできませんでした。

かなりローターが重いので風が無きゃ勝手に頭が上がるほどではない気もしましたが、少し引き起こしのエレベータを入れると、低速時よりも激しく引き起こしがかかって急ブレーキになるので、高速ターンでエレベーターをちゃんと使うのが難しい気はしました。

引き起こし時に向かい風を激しく受けてれば頭上げ方向に力が働くのは当然なので、それに対抗するだけのジャイロ保持力が無いということかなと思います。今度ジャイロ強度を上げてもう一度試してみます。



まあ、これだけ風が強くちゃしょうがないかなーと思いつつ、修理上がりの130Xを同じように軽く飛ばしたら
確かに高速ターンがV120より綺麗にできています。エレベータを引いた時の反応が、低速時でも高即時でも同じレートで動く、というところがポイントだと思います。


ついでに、まともに飛ぶのすら難しいnano933を同じように飛ばしてみたら
これはこれで、なかなか良いです。
強風下でこれだけの速度を出すと、SCPやV922はがくがく首を上下に振ってまともに飛べません。

元々V933ジャイロが軽いブレードを苦手としてるのでブレードにかなり錘テープ(片側0.4g程度)を貼っているのですが、結果として外フライトにはかなり良い機体に仕上がっています。ひらひら機敏には動けませんけどね。


そういえば、背面時計回りサークルが屋外ならなんとか出せるようになりました。綺麗に円の形を保つのは両方向ともまだまだダメですけど。。。

2014年5月4日

deviationでV977が飛ぶ日が来るかも?

RCGのV977スレッドにて、jameschenさんが、V977のKNプロトコルをdeviationチームに提供する承諾を取り付けた、との書き込みをしています。

http://www.rcgroups.com/forums/showpost.php?p=28265665&postcount=727

そんなに簡単にコードが公開されるわけではないと思いますが、既に皆さん狂喜乱舞です。


なお、もしもソフトウェアができたとしても、無線チップとしてはNRF系なのでNRF24L01モジュールをdevoに内蔵する作業は必要になるはずです。

2014年5月2日

新機体もらった!

最近いろんなものをヘリ部長から借りパクして飛ばしてますが、また1機デッドストック機を提供してもらいました。
じゃじゃーん! かっこいいカーボンローター付き。
実は中身はV120D02だそうです。
受信機はRX2610Vでした。
元はV120D02らしいのですが、今ではかなりの部分がD02Sパーツに置き換わっているそうです。テールまわりがごっそり無かったので、二人分のスペアパーツからなんとか付きそうなものを選んで付けていったら、ほぼ130Xの純正パーツのみでテールが組みあがりました。


デッドストックになっていた理由は、1S仕様のままなのでとにかくパワーが無いからだそうです。しかも今では130Xを飛ばしているのでこれにお金をかけて2Sにする意欲も無くなったとのこと。また、受信機の性能も130Xの方がだいぶ上で、RX2610Vのこいつは走らせると頭上げしちゃうそうです。


とはいえ、1Sのままパワーアップは試みたそうで、社外ESCとHP08 (たぶん16500kV)がついていました。

あれ? このESC、XP12Aじゃないですか! しかも受信機への電源はBEC出力から取っているので、このまんま何もせずに2S繋げば飛ぶんじゃ…


と思ってコネクタだけ付けて浮かせてみたらちゃんと浮きました。少なくとも1Sよりはずっとパワーがありますね。ただ回転低めに絞っておくとトルク不足でふらふらするので、後でBLHeliにしてガバナーを入れてみます。

まあ、いずれちゃんと2S用モーターにすべきです。

2014年5月1日

130X受難の日 テールまわりのトラブル修理

火曜は久々にヘリ三昧の日でした。
風が強めだったので主に130Xを飛ばしたんですが、非常に快調に飛んでいたにもかかわらずうっかりハードクラッシュをさせてしまい、あちこちが破損して購入後初の大修理になりました。

まず、以前も交換したメインシャフトのコーンギアは、やはり純正樹脂だとクラッシュでなめやすいのでHKRCで買ったメタルギアに交換しました。

心配だったフロントサーボとのクリアランスは十分です。
なぜならば、純正プラギアと比べると0.2mm程度半径が小さいので、プラギアでちゃんと飛べてるなら確実にOKな作りになっているためです。
上側にHKRCメタル、下側に純正プラギアを向かい合わせに重ねた比較写真
純正プラギア側の歯がはっきりと全周はみだして見えます。
ヘリ部長によると、EXTREMEのメタルギアも同様に小径の設計になっているそうです。純正メタルギアだけがダメ設計なんですねー。



次に、テールギアこそなめなかったもののテールのピッチスライダーとブレードホルダのリンクが折れ飛びました。さらにテールロッカー(スライダーをコントロールするレバー)も一部折損したのでV120D02S純正スペアに交換しました。安くてよかった。

ここでテール周りを組みなおしていてヘリ部長に指摘されたんですが、今までテールドライブシャフトが、Cギアにちゃんとささっていませんでした。

これはちゃんと挿した後の写真ですが、青で囲んだドライブシャフトの頭が絶妙にギアをちょうどぴったり貫通するくらいに設計されているようです。これがちゃんとささっていないとギアをなめやすいですし、なめたかどうかが外から見てわからないのでトラブル墜落の元にもなります。

この刺さり具合を決めるのはもちろんテールブームの長さですが、まず最重要チェック箇所はフレームにブームがちゃんとささっているかです。これは下の写真に矢印で示したサーボホルダとフレームの隙間が普段と違っていないかをチェックするとわかります。
また、後ろ側はテールケースからテールブームがひっこぬけていないかが重要です。
これは基準位置が無いのでわかりにくいですが、ここのずれを規制しているのが実は今までどうでもいいかと思っていた垂直尾翼の固定ネジです。
まあ、どちらもひっこぬける方向にしかずれっこないので、最初のCギアへのドライブシャフト貫通具合をチェックするのが一番良いですね。


ところで、うちの130Xはテール周りは以前からV120D02S化されているんですが、メインブレードも重めなV120D02S純正を試してみました。これは非常に安定して飛ばしやすいです。私の腕ならパワーも十分ですし、横チク練習が以前よりだいぶマシにできるようになりました。


他にはメインブレードグリップのぽっち折れ、右リアサーボの原因不明動作不良、テールブーム裂け(未修理)、電源コネクタ断線などがありましたが、パーツ献体のレッドブル君がいるのでまだまだ余裕です。